三渓堂初代店主・岡崎清吉
大正5年、横浜市中区本牧・三渓堂表具店に入店修行、昭和初期まで、三渓園の原富太郎氏(明治期より欧米との生糸貿易及び世界遺産となりました富岡製糸場経営により財を成し、古美術品の蒐集家・茶人として有名で岡倉天心の親友でしたので明治44年に門下の安田靫彦・今村紫紅・前田青邨・小林古径らの後援を依頼されましたので、主に美術院系の画家育成に力を尽くした方)
に仕事が気に入られ氏の所蔵の美術品の表装や古書画の修復をさせて頂きました。
昭和6年鎌倉由比ガ浜の現在地に三渓堂支店を開店。
昭和46年まで店主として活躍。その間、昭和9年、神奈川県表具組合の表装展にて中庭暖華画・達磨大師像の表装にて優勝し、審査委員長前田青邨画伯より 賞状を頂きました。
戦後、円覚寺・朝比奈宗源管長、俳人・高浜虚子、日本美術院画家・小倉遊亀、作家・里見ク、久保田万太郎、村松梢風、院展同人・真野満 等の先生方より仕事をさせて頂ました。最近、鎌倉アート様よりの依頼で伊東深水先生(女優・朝丘雪路の義父)の下絵裏打掛軸額等千点以上の作品を製作・修復させて頂きました。
小倉遊亀先生の心の師で日蓮上人以後の最高の日蓮宗人と称される報恩会主宰・ 小林法運先生書 又、弟子の武田法得先生のご本尊の仏仕立て表具製作や修復を度々させて頂きました。
安田靫彦先生門下の小倉遊亀先生との御縁は報恩会及び世界遺産・富岡製糸場の経営者で横浜三渓園創設者・原三渓 (本名・富太郎) 様のおかげで、小倉先生の出品画及び依頼画の下仕事をさせて頂きました。
先生の画室にたびたびお邪魔いたしましたが、画室内には法運先生筆の一遍首題御本尊が掛けられており、本質的には先生の信仰は 臨済宗 + 日蓮宗 であったと思います。
小倉先生は昭和30年頃より50年位まで北鎌倉の鉄樹庵のほか小袋谷近くの薬店にて絵のお弟子さんや信奉者引き連れての修養会を開いておりまして、毎月先生の御講演を拝聴させて頂きました。その講演の中で絵画の観賞方法や製作の心がまえ、裏話等を聞かせて頂き、書画の見方を学ばせて頂きました。
日蓮宗の高僧の筆になるお曼荼羅の修復の仕事が、この頃大変増えて居ります。ひどく傷んだ状態の軸が多いですがなんとか再表装により再生することができます。
三渓堂 2代目・岡崎良平 昭和42年、表具国家検定一級にて、県知事賞受賞。
昭和50〜54年県立鶴見職業訓練校・表具科講師、その後県表装作品展にて審査員及び、審査委員長歴任。平成2年、神奈川県優秀技能者、平成7年、神奈川県卓越技能者として表彰されました。
3代目・岡崎誠 平成11年、国家検定一級合格
神尾先生書 台張大和仕立
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